ブラックスワンとべき分布

 大恐慌は、理論的には数万年に1回しか起こり得ないという。
 しかし、実際にはサブプライムが起こったように、数十年に一度起こっている。
 つまり、確率論や従来からの経験則で類推できる無いような事が実際には起こっており、それを総称して「ブラックスワン理論」という。

 科学者が想定する確率分布の中で、長きに亘って君臨してきたのは「正規分布」だ。
 これなら、平均と標準偏差で”想定外”のリスクを考える事は出来る。

 しかしこの世界に、果たして正規分布な現象が多数を占めるのだろうか。
 2010年10月に亡くなった、フラクタル幾何学創始者マンデルブロはそれに否を言い続けてきた。

 考えれば、例えばネット通販のアマゾン:ロングテールが示すように、実際の現象はパレート分布、つまり「べき分布」に伴う現象が多い。

 株価や為替レートの変動がべき分布に従うように、巨大地震津波もまた、べき分布に従うのである。

 東京電力の発表で、「想定外」という言葉が幾度も使われたが、べき分布から考えたリスク管理をすることで、簡単に乗り越えられる「想定外」のリスクは避けられるのではと思うだが、どうだろうか。