2007-01-01から1年間の記事一覧

警官の血

今年度の「このミステリーがすごい!」第一位”警官の血”は、祖父・父・息子の三代を貫く警察官の人生を、その時代の歴史・人々の暮らしぶりを丹念に描写することによって著した実に見事な小説です。 ”警官の血・上巻”佐々木 譲著(新潮社) ”警官の血・下巻”佐…

インフルエンザと異常行動

12月17日の日系メディカルオンラインによると、12月16日厚生労働省“インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究”の調査結果が発表になっています。 日経メディカルオンラインhttp://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/int/200712/505098.html この調査…

規制改革会議

毎日新聞12月7日の記事(大場伸也記)に、規制改革会議が、2次答申案の中で、“医療分野の規制緩和策”を提言していることが報じられています。 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071207k0000m010157000c.html 具体的には 看護師による感冒・便秘・不眠…

経済学者の考える後発医薬品普及策

2007年12月11日の日本経済新聞”経済学教室”に、青山学院大学教授:飯塚敏晃氏が「後発医薬品使用推進策」として、一つの解決策を提案されています。 先ず飯塚氏は、今の後発医薬品の使われ方を次のように分析されています。 後発医薬品の使用は診療所に偏り(3…

混合診療

平成19年12月2日付日本経済新聞に編集委員:大林尚氏の署名入り記事”けいざい解読”で「混合診療禁止、誰を救うか。」という記事が掲載されています。 内容としては、混合診療禁止を唱える人達を反規制改革派=抵抗勢力として、その論法を 「誇大喧伝戦術」:あ…

 医療と経済学者

日本経済新聞11月25日(日)の読書欄に、”経済論壇から〜医師不足の原因を探る〜”という題で、東京大学教授 松井彰彦先生が一文を寄せておられます。 松井先生は、現在病院で医師が置かれている過酷な勤務状況を改善するには、「医師の絶対数を多くする事が必…

国のない男

「国のない男」は、カート・ヴォネガットが書いた最後の本です。 “国のない男”NHK出版 ヴォネガットは20世紀アメリカを代表する作家で、その作品にこめられた権力者への皮肉と、“皮肉屋”ゆえの社会に対する優しさ・温かさは、彼の作品の底流となっています。 …

なぜひとりで食べるの

2007年11月20日の朝日新聞夕刊一面の“ニッポン人脈記−食卓のメロディ”に「ひとりで食べないで」という記事が掲載されました。 記事では食生態学者・足立己幸氏をとりあげていますが、足立氏は、依然私も読んで感動した、“なぜひとりで食べるの”の筆者でいら…

こうのとりのゆりかご運用半年経過。

11月11日の朝日新聞では、熊本市の慈恵病院に5月に設置された“こうのとりのゆりかご”が、運用半年で8人の子供を預かったことを報道しています。 http://www.asahi.com/life/update/1110/SEB200711100019.html 以前にもこの日記で書いたように、預けた後心配…

処方箋、後発品優先

日本経済新聞11月10日朝刊に「処方箋、後発薬優先−原則利用に変更」という記事が掲載されました。 記事によると、厚生労働省は、現在医薬品の中での利用率が約17%にとどまっている後発医薬品の普及を促すため 医師に対しては処方箋を原則として後発医薬品の…

タミフルと異常行動・・・新たな実験結果

YOMIURI ONLINEで「タミフルが脳に達する機構解明へ・・・」の記事が、10月30日に報告されました。 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071031-OYT8T00197.htm 記事によると、BBB(血液脳関門)を越えて侵入した異物に対して、生体内で排出する機…

タミフルと異常行動:ワーキンググループ報告

厚生労働省には、タミフルに起因するのではないかという異常行動について、これを調査するためのワーキンググループ(基礎WG、臨床WG)が設置されています。 このうち、「リン酸オセルタミビル(タミフル)の基礎的調査研究のための基礎的調査検討のためのワ…

 隠蔽

薬害C型肝炎訴訟で、厚生労働省が製薬企業から提出を受けていながら、倉庫に放置していた418人の患者リストが問題となっています。 以前、私のエントリー”副作用報告”で書きましたが、医療機関には薬による有害事象が発生した場合、独立行政法人医薬品医療機…

 薬剤師がいない。

私が在宅医療で訪問する老人宅には、ケアマネージャー・へルパーや医師が私と同様に訪問しています。先日訪問した時、患者様は気分が悪いと横になるや否や、嘔吐を繰り返し始めました。すぐに医師に連絡・往診の依頼をし、その後汚れた服を取り替え、吐瀉物…

ドラッグラグ

先日10月8日の日本TVのニュース番組“ZERO”で、「ドラッグラグ」の事が報じられました。 これは、ムコ多糖症2型ハンター症候群に現在罹患している少年の命を救うとされる新薬「エラプレイス」が、アメリカや欧州各国ではいち早く承認されているのに日本では未…

後発医薬品の使用責任

日本薬剤師会学術大会が10月7日、8日と神戸市で開かれました。 後発医薬品使用促進は、分科会の中でも主要なテーマとして多くの意見が述べられました。わが国の後発医薬品の数量ベースでのシェアは17%と、アメリカ(63%)・イギリス(59%)などと比べて極端…

ワーキングプア−日本を蝕む病

NHKで放映されていたドキュメント“ワーキングプア”が単行本化されたので読んでみました。 「ワーキングプア−日本を蝕む病−」 TVでは、その実情を映像で見せられたことで、個々の事例の悲惨さに心が奪われましたが、活字化されると、こういった事例を生んだ背…

明香ちゃんの心臓

この本は心房中隔欠損の手術後に亡くなった、当時12歳の明香ちゃんの死因を究明するご両親の戦いの記録を書き記した本ですが、決して原因が究明された事で終わるお話ではありません。繰り返される医療事故を未然に防ぐため、そして起こった事故をどのように…

 株式会社と薬局

前回、医療に株式会社参入は向かないという話をしました。しかし、医療に株式会社が参入している業種があります。それが、薬局です。 昨年6月、薬局も医療機関として認められることになりました。従って、株式会社として存在する薬局が医療を行っているとい…

 株式会社と医療

医療に営利を目的とする企業(株式会社)の参入は似つかわしくないという意見は、医師会をはじめとする多くの医師から述べられています。例えば、小松秀樹医師は、氏がお書きになった“医療崩壊”の中で、“日本の勤務医は、高度な知識と技量で、病者に寄与する…

SiCKO

先日マイケル・ムーア監督の新作「SiCKO」を観ました。高齢者と低所得者(合わせて約25%)が加入しているメディケア・メディエイド以外は公的医療保険制度のないアメリカでは、国民の約60%が民間の医療保険に入っています。(勿論残りの15%約4700万人は無保…

今現在、亡くなる方の8割以上は病院で最期を迎えています。しかし、それも2011年の介護保険療養病床全廃・医療保険療養病床の削減によって、変化を強いられる事になります。実は今までは、家庭で介護できないなどの理由で、医療ではなく介護(所謂身の回りの…

 終の棲家(自宅編)

2011年度末までに、現在ある療養病床37万床のうち介護療養病床12万床は全廃されます。また残りの医療療養病床25万床も15万床+αに削減される予定です。また現実には既に療養病床の診療報酬は昨年7月に改定され、以前は全患者一律に一人当たり入院基本料月額…

”こうのとりのゆりかご”の意義

安倍首相をはじめ政府が「美しくない。捨て子を助長する。」と評価をしていない”こうのとりのゆりかご”が、少しずつその意義を認められてきているようです。以下はm3.comに載っていた記事です。 赤ちゃんポスト引き取り 「緊急避難」発揮と評価 記事:毎日新…

改正薬事法・・・医薬品販売制度改正 

平成18年法律第69号「薬事法の一部を改正する法律」をご存知でしょうか。これは、現行薬事法が昭和35年に制定されて以来、実に49年ぶりの改正です。 この改正は、現行でのいわゆる”大衆薬”(一般用医薬品)の販売に際して、十分な情報提供がなされておらず、…

経済財政諮問会議と社会保障 

先日、”これからの高齢者社会と医療”という題で、厚生労働省医療費適正化対策推進室企画官 大島一博氏の講演を聞きました。 私のBlogでも今まで何度も急速な高齢化の進展について述べてきましたが、大島氏の講演はこの内容を資料を基に丹念にお話なさったも…

後発医薬品推進の為に

先日、”ファーマシューティカルケアの実践〜薬物治療における新しい薬剤師の役割”という題で、聖マリアンナ医科大学病院薬剤部部長:増原慶壮氏の講演を聞きました。増原氏はかねてより有名なジェネリック医薬品推進派の論客で、この日も積極的に自らの病院…

 医薬分業と後発医薬品

先日、「医薬分業と後発医薬品の普及、推進における薬剤師の役割」という題で、日本保険薬局協会会長 三津原博氏のお話を聞きました。 三津原氏といえば、大手チェーン薬局日本調剤株式会社の社長。医薬分業の黎明期から現在までを知り抜いておられる方で、…

介護職員増員の必要性

日本経済新聞7月23日に対のような記事が掲載されました。 ・厚労省推介護職員、最低40万人の増員必要計 厚生労働省は、団塊世代の高齢化に伴う介護ニーズを賄うには、2014年までに介護職員などを40万―60万人増やす必要があるとの推計をまとめた。現状に比べ…

薬局薬剤師による症例検討会を終えて

7月21日、「第1回薬局薬剤師による症例検討会」を無事に開催できました。予想を上回る参加者があったことは、開催に手を貸していただいた神戸学院大学薬学部の先生方のご尽力の賜物と、世話人として感謝するばかりです。 実際自分達の薬局の患者様の症例を提供…