隠蔽

 薬害C型肝炎訴訟で、厚生労働省が製薬企業から提出を受けていながら、倉庫に放置していた418人の患者リストが問題となっています。
 以前、私のエントリー”副作用報告”で書きましたが、医療機関には薬による有害事象が発生した場合、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(略して機構)に報告する義務があります。
  ”副作用報告 ”   http://d.hatena.ne.jp/tomoworkaholic/20070405#1175872036
  ”独立行政法人医薬品医療機器総合機構”  http://www.pmda.go.jp/
 これらの報告を基に医薬品などの審査を行い、安全対策を整備し、生じた医薬品副作用の被害を救済給付する、これが機構の仕事です。そして、機構がまだ出来ていなかった当時は、厚生労働省医薬局がこの副作用報告を受けていました。その時、製薬企業から提出されていた医薬品によるC型肝炎感染者リストが今まで放置されていたというわけです。
 そして当時この厚労省医薬局のトップであった方が、実は現在、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の理事長です。つまり、副作用報告の重要性を非常に良くご存知の方が、感染者リスト放置の当時の担当者であり、今でも薬の安全性に関する問題を取り仕切るトップにおられる事になります。
 薬学部で勉強していた当時、動物実験で薬を与えてその効果や有害事象を研究する為、亡くなっていく動物達をたくさん見ました。今もこの手の中に冷えていくその温もりを感じ、消えていく息ずかいが耳に残っています。それを経験しているからこそ、そして医療の現場で亡くなって行く”いのち”を見ているからこそ、医療者は薬の有害事象などに常に真剣であり、気を使っているのです。
 聞けば現機構の理事長は、国立大経済学部卒の方だとか・・・。
 せめて”いのち”を最も大切に思う機構のトップには、消え行く”いのち”を見つめてきた医療者の”心”を感じる事の出来る人であって欲しいと願います。