2008-01-01から1年間の記事一覧

部分という名の幻想

先日兵庫県の保険医協会主催の講演会で、講談社新書”生物と無生物の間”で有名な分子生物学者福岡伸一教授のお話を聞く機会を得ました。そしてそこで、ある絵にまつわる一つの話を聞くことができました。非常に面白い話だったので再録してみようと思います。 …

規制緩和

日本経済新聞2008年10月20日”インタビュー:領空侵犯”に、楽天会長兼社長の三木谷浩史氏の発言が記載されています。曰く、 「省令は無用の長物:霞ヶ関の官僚は、国会という透明性の高い場で作られた法律を肉付けする省令や通達という装置を、官僚自らの権限…

おくりびと

高度経済成長・核家族化が始まった頃から、自宅で死を迎えることが少なくなりました。病院で迎える死と自宅で迎える死の比率が変わったのは昭和54年、その年を境に今では84%の人が病院で死を迎えています。 ”一世帯一家族それぞれが自分たちの家を持ち、両…

後期高齢者医療制度:厚労大臣私案

2008年10月7日舛添厚生労働大臣は「後期高齢者医療制度に関する検討会」(塩川正十郎座長)において、後期高齢者医療制度の見直しについて私案を提示しました。 日本経済新聞(http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081008AT3S0702F07102008.html) これに…

ASKA symphonic concert”SCENE”

2008年10月1日、台風一過大阪城ホールに向かう公園から見た西の空は、夕焼けが赤く染めていました。 今日は久しぶりにASKAのソロコンサート、それもsymphonic concertです。 ASKA symphonic concert tour 2008"SCENE" http://scene.chage-aska.net/ 昔から、…

OTCネット販売規制

8月になって、各都道府県単位で登録販売者試験が開始されています。 これは、昭和35年に制定された薬事法が、平成18年実に49年ぶりに改正された法律第69号「薬事法の一部を改正する法律。」により始まった制度です。 この改正では、現行でのいわゆる”大衆薬”…

T−705

以前インフルエンザ治療薬で新型タイプが臨床試験に入ったことを記事にしました。 http://d.hatena.ne.jp/tomoworkaholic/20070123/1174269855 現在インフルエンザ治療薬には、タミフル・リレンザ・シンメトレルがあります。 このうち、シンメトレル(アマン…

T−705

チーム医療

薬局薬剤師である私が行っている在宅医療では、患者さまを中心として、複数の医療・介護職種が関り合いながら医療・介護を行っています。これはある意味”チーム医療”という言葉で表わされるかもしれません。しかし、実は”チーム医療”といっても、そこには明…

受益者負担

医療制度における受益者負担とは即ち、患者負担のことを意味します。我が国でも、医療費の財源確保の手段として幾度も患者負担割合が上げられてきました。 最近では後期高齢者で収入の多い方には現役並みに3割負担となっており、来年には前期高齢者の負担割…

「命の砂時計」と終末期医療

先日、私の住む市で「第1回緩和医療研究会」が開催され、お知り合いの医師から連絡を頂き参加してきました。 会場であるT病院の2階会議室は、沢山の方が参加された為にあふれかえり、急遽座席が設営されたりしていました。参加者を見渡すと、ケアマネージャ…

怖い絵

怖い・恐い・・・漢字で書くとこうなりますが、私自身は、ホラー・幽霊・怪談・オカルトものは映画でも、本でも見る気がしません。 暫く前、映画監督の黒沢清氏は、NHKラジオで 「恐いという感覚が、一般には美しいや楽しいという感覚より劣っているとい…

 医療の難解100語

国立国語研究所が”患者が分かりづらい医師の言葉100語”を発表しています。 http://www.kokken.go.jp/byoin/tyosa/yogo/gaiyo/zuhyo/ これは、予め国語研の「病院の言葉」委員会が選んだ「よく使われるのに、患者が分かりづらい」100語をもとに、実際に医療従…

タミフルと異常行動…疫学調査

タミフルと異常行動について、疫学調査の結果が、各種報道機関から発表されました。 例えば、産経新聞にはこのような記事が出ています。 タミフル 異常行動「関係なし」 10代への処方禁止見直しも 7月11日8時1分配信 産経新聞 飛び降りなどの異常行動と因…

後期高齢者医療制度再び・・・

後期高齢者医療制度保険料の天引きの2回目、さらに政府・自民党による低所得者対策なども行われる中、新医療制度移行に伴う国保料金の値上げが通知され始め、負担増に驚く住民が後期高齢者医療制度実施時の高齢者と同じく、役所の窓口に殺到しているという記…

有害事象の責任

先日、朝日新聞の”声”の欄に医師からの投書がありました。 その中身は、”「処方箋に後発品変更不可」の印を押さずに処方箋を出したら、薬局で変更され、その結果有害事象が患者さまに生じた。その責任の一端は薬剤師にある。…”というものだったと思います。 …

介護の現場からの招待状

先日、地域包括支援支援センターでケアマネージャーさんとお話しする機会がありました。 地域包括支援得センターのケアマネージャーは、一般に介護を必要とする高齢者の中でも比較的軽度の要支援1・2の方を対象にします。つまり、寝たきりや通院困難ではない…

“わからない”という事。

高校時代、私は化学や物理が嫌いでした。芳香族の構造がなぜあるのか、それを教えて下さる授業の中身も、何を言っているかさっぱりわからなかったからです。必然的に大学は文科系の経済学部に入りました。おそらく、こんな理由で文科系学部に入学した人は、…

終末期相談支援料

本年4月に改正になった診療報酬には、”後期高齢者終末期相談支援料”というのが新設されています。 これは、”安心できる終末期の医療の実現を目的として、患者本人による終末期の医療内容の決定のための医師等の医療従事者による適切な情報の提供と説明を評価…

”突き抜け方式”保険制度の問題点

政府・与党は、後期高齢者医療制度の改善策を、第2回目の天引きが行われる6月13日までに作成しようと対策を本格化させています。その中身はというと。 低所得者向け保険料の8〜9割軽減を実施する。 半年間の延長が認められている、会社員である子どもに…

医療の在り方

世界に類を見ない国民皆保険制度により、全国民が所得の多少に関わらず必要な医療を受けられ、そしてフリーアクセスによって、どの医療機関でも自由に治療が受けられる日本の医療制度は、国民の健康寿命・平均寿命・乳児死亡率の低さを世界のトップに導きま…

後期高齢者医療制度の趣旨

参考文献:”社会保障の明日”西村 淳著 4月より始まった後期高齢者医療制度に対し、多くの不満がメディアを通じて表されています。曰く “消えた年金”など、払われるべき年金問題が未だ解決されていないのに、納めるべき保険料を、その年金から“天引き”の形で…

後発医薬品変更に不向きな薬

4月よりの保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の改正によって、薬剤師は「処方箋に医師からの”後発医薬品変更不可”の指示がない場合は、患者様に対して後発医薬品に関する説明を適切に行わなければならない」という義務規定を課せられました。 4月からこういっ…

後発医薬品分割調剤

今回の調剤報酬改正では“後発医薬品分割調剤“、いわゆる後発医薬品の”お試し調剤“が新しく制度化されました。 これは、後発医薬品に対する患者様の不安を和らげる為に、薬局において、患者様の同意を得たうえで、短期間後発医薬品を試せるように調剤期間を分…

後発医薬品の代替調剤

4月1日から、医療制度改正に伴う処方箋様式が変わり、処方医の後発医薬品への変更を不可とする指示がない限り、後発医薬品への代替調剤が認められるようになりました。厚生労働省でも後発医薬品推進の為のオリジナルポスターが作られ、患者様へ後発医薬品の…

「いのちと向き合う春」を見て。

同級生だった友達が最後に企画した放送が3月20日放映されました。 それは“ABCこども未来プロジェクト”「いのちと向き合う春。」 昨年51歳の若さで逝って早1年。 番組を見ていると、プロジェクトに託した彼の“いのち”への想いは、しっかりと後輩へと引き継が…

後期高齢者医療制度の説明責任

日本経済新聞2008年3月28日朝刊に、後期高齢者医療制度における都道府県別保険料確定の記事が出ています。 保険料負担、格差2倍も・自治体徴収確定、月平均6000円 4月から始まる75歳以上の高齢者を対象にした新たな医療保険「後期高齢者医療制度」で、各都…

生きる事の意味。

山の麓に住むT子さんのお宅は、薬局から自転車で約20分の距離にあります。 私が彼女の自宅を訪問するようになったきっかけは、昨年6月に送られてきた1枚のFAX.それは、医師からの指示書“居宅療養管理指導依頼書”。 91歳になる彼女は多くの疾患を抱え、…

阪急電車

本屋でこの本をふと見かけた時、「なんで鉄ちゃん(鉄道オタク)の本が平積みになってるの?しかも、サイン入りなんて…」と思ったのですが、作者の名前(有川 浩)を見てドッキリ!さらに出版社(幻冬舎)を見てえー!”有川 浩”と言えば、”塩の街””空の中””海…

認知症…その3

高齢者の在宅医療を行っていると、患者様の中に認知症に罹患している方を多く見ます。認知症の原因の一つは加齢なので、当然といえば当然なのですが、幻視や幻聴、“物盗られ妄想を実際に経験すると、医療の限界を感じてしまいます。 実際、認知症の治療にお…