後期高齢者医療制度再び・・・

 後期高齢者医療制度保険料の天引きの2回目、さらに政府・自民党による低所得者対策なども行われる中、新医療制度移行に伴う国保料金の値上げが通知され始め、負担増に驚く住民が後期高齢者医療制度実施時の高齢者と同じく、役所の窓口に殺到しているという記事が掲載されています。
    http://mytown.asahi.com/hyogo/news.php?k_id=29000000806260005
 これで、民主党など野党は再び国会で攻勢を強めるのでしょう。
 しかし、一般会計予算82兆円のなか、医療費は32兆円(39%)を超えます。そしてその中でも、65歳以上高齢者医療費は12兆円と37%を超えています。この状態で65歳以上の全人口1億2777万人に対する高齢化率は21%2660万人(2006年現在)、これが2025年には推定人口1億1522万人(1200万人減)に対する高齢化率32%3667万人(1000万人増)となったらこの国の医療費はどれぐらいになるのでしょうか。実は2005年の予測では69兆円と推定されています。つまり現在の医療費の倍以上で、現役世代の負担はさらに上がるのです。
 このような中で従来通りの老人保健法で高齢者の医療をカバーできるでしょうか。今日の日本を育てた方々への敬意を込めて、若い世代がある程度の負担をするのは当然ですが、これ以上の負担は少子高齢化のわが国で適正だとは私には思えません。
 逆に、高齢者の方々にとっても、高額になった医療費を若い世代の支払いに頼って是だと本当に思っておられるのでしょうか。
 小泉改革の”国民に痛みを強いる”政治が支持されたのは、その先に少しは明るい未来が見えたからだったはずで、(実際は明るい未来はありませんでしたが…)医療においても将来を見据えて医療制度について考える姿勢を持つ必要があります。
 伸びていく老人医療費については誰かが負担しなければなりません。それを解決するための最も優れた制度が後期高齢者医療制度だというわけではありませんが、負担割合を定めた点では意味のある制度です。
 但し、低所得者への保険料の低減などの手直しによって生じる、560億円もの財源を明確にせず実施されるような小手先の政策改良が、安心した老後を高齢者に提供するとは思えません。
 財源を消費税にするなど痛みを感じる政策を提示する事も、明日の安心を語る為に今必要なことだと思います。