介護の現場からの招待状

 先日、地域包括支援支援センターでケアマネージャーさんとお話しする機会がありました。
 地域包括支援得センターのケアマネージャーは、一般に介護を必要とする高齢者の中でも比較的軽度の要支援1・2の方を対象にします。つまり、寝たきりや通院困難ではない方を対象とします。
 しかし、こういった「自分で通院できる患者」の方が、お薬の管理に問題が多いとケアマネージャーさんはおっしゃいます。
 曰く、飲まない、他人にやる、取捨選択する、多剤併用する・・・・・
 私達薬剤師が行う訪問薬剤管理指導には、介護保険を利用されていない患者さまへの”在宅患者訪問薬剤管理指導”と、利用されている患者さまへの“居宅療養管理指導”の二つがあります。そしてどちらも、算定要件として”在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものという但し書きがあります。そして、”保険薬局の薬剤師が、医師の指示に基づき、薬学的管理指導計画を策定し、患家を訪問して、薬歴管理、服薬指導、服薬支援、薬剤服用状況及び薬剤保管状況の確認等の薬学的管理指導を行い、当該指示を行った医師に対して訪問結果について必要な情報提供を文書で行った場合に算定する。”と書かれています。
 つまり、薬剤管理が必要であると現場のマネージャーが考える患者さまでも、通院できる人には、現行の制度では訪問薬剤管理指導が行えないのです。
 現在処方箋によって処方されたが服用されずに自宅にある薬は、総額2000億円分あると言われています。これだけの金額を、訪問薬剤管理指導を行うことで、かなりの部分減らすことができます。
 そうすれば、”骨太の方針2006”によって決められた社会保障費年間2200億円を削減せずに済ますことができます。
 福田首相が決めたアフリカ諸国へのODAが2000億円を創出することができるのです。
 介護の現場から来た招待状を何もせずまま握りつぶす、国もそろそろ現場に目を向けた医療を考える時期が来ているのではないでしょうか。