リタルダンド

リタルダンド
音楽用語で「だんだん遅く」という意味。

齢50を超え、再婚も果たしたばかりで、若年性アルツハイマーに罹った音楽雑誌編集長の主人公。
仕事のスケジュールを忘れ、地図が読めなくなるなど、少しずつ記憶が消えていく恐怖。
その主人公を支える妻、そして部下達。
せめて、その進行のスピードがあと少しだけゆっくりと、​あと少しだけ遅く、リタルダントでと願いを込めて…

薄れゆく記憶の中で、壊れてゆく暮らしの中で、支える人達の哀しみや苦しみが飽和点に達するその時、一筋の光が彼らの頭上に射しこむ。
シアターBLAVAにて、本日が東京・名古屋・大阪と続​いた舞台の千秋楽。

すすり泣く観客の嗚咽は、明日を信じる希望でもあった。