適応外処方

先日朝日新聞に「子宮内膜症の生理痛にロイコトリエン受容体拮抗剤が効果がある」旨の記事が掲載された。
子宮内膜症の増殖部位には肥満細胞が存在し、ケミカルメディエーター(ヒスタミン、ロイコトリエンなど)を放出する。これに対しロイコトリエン受容体拮抗剤が効果を持つことは薬理学的に正しいといえる。
但しこれは保険の適応外処方である。この薬の適応は「気管支喘息アレルギー性鼻炎」だ。従って保険上、病名に子宮内膜症をつけてロイコトリエン受容体拮抗剤を処方する事はできない。
医薬品メーカーは医薬品開発時、臨床試験をもとにデータを収集し、製造販売承認申請を厚生労働省に提出する。これを厚生労働省は薬事・食品衛生審議会に諮問し、了承が得られれば承認・許可・薬価掲載となる。
メーカーの申請する効能に、上記のような申請外の使い方やデーターが記載してなければ効能としては認められない。
しかし、実際には適応外処方には意味があり、良く使われる。
以前、小児用バファリンは適応外の抗血小板薬として臨床医のもとで普通に使われていたのが、その有用性ゆえ効能の追加となった例もある。
今も、H2ブロッカータガメット(シメチジン)の整形化領域における骨へのカルシウム沈着防止や、ピロリ菌除去における3剤併用療法が失敗に終わった時のフラジール(メトロニダゾール)など、使用例は枚挙に暇が無い。
新しい治療法の開発として、適応外処方が使われる事には意味がある。