専門薬剤師

 3月17日朝日新聞掲載記事によると、緩和医療に薬剤師も積極的に取り組もうと「日本緩和医療薬学会」が結成されるそうです。この会は、モルヒネなどによる緩和ケアに特化した専門薬剤師の育成を目指しているそうで、終末期を自宅で過ごす患者、特にがん患者の痛みを緩和する為の薬剤によるケアの方法については、在宅医療を行う保険薬局では特に知りたい知識なので、ぜひ参加したいと思っています。
 専門薬剤師制度は、日本病院薬剤師会が中心となって進めており、同会は既に「感染制御専門薬剤師」を誕生させていて、今後は「がん専門薬剤師」「精神科薬物療法専門薬剤師」「HIV感染症専門薬剤師」も認定していく予定だそうです。
 ただこの認定の資格要件が非常に厳しく、病院での実務研修や3回以上の学会発表・2編以上の学術論文等が必要なので、薬局薬剤師には手が出せないものになっています。それでも個々の地域の薬剤師会では独自の認定制度があるようで、熊本県病院薬剤会では「糖尿病療法研究会認定薬剤師」があり、薬局薬剤師も認定を受けています。
 日本薬剤師会では、「薬剤師のライセンスは一つ」という会員からの声が強い為、専門薬剤師の養成に関する動きはないようです。しかし、薬学全般の知識を持ちながら専門の知識を持つ事も、患者様の立場から見ると必要な知識なのではないでしょうか。情報の非対称性が謳われるこの医療にあって、その専門的知識さえ「ライセンスは一つ」の声で逃げていては、「顔の見えない薬剤師」という誹りを受けても文句は言えないでしょう。
 4月から「薬局機能公表制度」も始まります。今年は7項目ですが、来年には28項目全部を公表しなければなりません。その中に認定薬剤師・専門薬剤師の有無も問われています。勿論、認定薬剤師があるではないかという声もあります。しかし、私のような終末期医療・緩和医療に取り組むものには、「がん専門薬剤師」の研修項目にあるような知識が必要です。その知識が患者様へのケアにつながり、より良い医療が進むのですから・・・・
  ※参考:薬剤師認定制度認証機構http://www.cpc-j.org/index.html