エキスペリエンツ7

 日本経済新聞社から出版されている堺屋一著「エキスペリエンツ7」は、一言で言えば”団塊の世代への応援歌”であり、地域社会活性化への処方箋かもしれません。
  エキスペリエンツ7 団塊の7人
物語は、定年を迎える一人の銀行員の下に、”蕎麦屋”を営む学生時代の同級生の女性がやってきて、店のある商店街の存亡の危機を救って欲しいという依頼から始まります。その危機を救う為、7人の異なる職種の同世代の者が集まり奔走するという話です。
 設定から言えば、明らかに黒澤明七人の侍」のパクリですし、著者自身も物語の中で語っています。よく似た映画にあは、伊丹十三監督の「タンポポ」「スーパーの女」や「県庁の星」になりますか。
 ただ、主人公達を”老い”を迎える”団塊の世代”の世代にした事。また、助ける相手も”老い”を迎えて衰退する”商店街”にした事が物語を面白くしている点かもしれません。
 地域の薬局を経営している身から言うと、この20年でこの地に住む住民も高齢化しましたが、震災以降若い住民も増えてきました。しかし商店はというと、たくさんの個人店がつぶれ、逆にチェーン店や大型店ができ、その流れは変わりません。規模の大型化と効率性で価格の低下を生んでも、本当に消費者にあった商品や情報が提供されているかというと、疑問視してしまいます。
 消費者にあったきめ細かいサービスの提供こそが、個人店の生き残る方法なのでしょう。物語は、”七人のエキスペリエンツ”を通じてこの事を語ります。
 そして、定年を迎える仕事人(これをエキスペリエンツといいます)をして、色々な経験からくる知恵で難関を乗り越える、これが痛快な話にしている所以でしょう。
 ”老い”を”あきらめ”の理由にしてはいけません。体は老化しても、経験に裏打ちされた知恵を駆使すれば、若い人達と対等だ、物語はこの事を言いたかったのかもしれません。
 さて、この「エキスペリエンツ7」映画化が決まっています。そして、この映画のプロデューサーを100人募集しています。それも、50歳以上限定!興味のある方は以下のURLを参考にして下さい。
      http://www.nippon-p.org/mov.html