チェーン薬局と個人薬局②・・・教育制度

 1)教育システム
 多くの真面目な薬剤師は、非常に進展の早い医学・医療に遅れないよう、卒後も知識を身につけようと自ら勉強しています。個人で勉強していると、実際今現実にはどのような薬が使われているのか、服薬指導・ケア計画はどうすればよいのか、幅広い知識を効率的に得るにはどうすればよいのか、自分の勉強の仕方はあっているのかなど時々不安に思います。第一、その勉強する為の教材である本代の高い事!個人ではなかなかそれだけにお金は払えません。モチベーションを維持するのは難しいものです。
 そこで、研修担当部署があり、指導官が巡回して最新の治療や薬学の知識を与えてくれる会社・異なる診療科の処方箋を応需する複数の薬局を持つ会社、つまりチェーン店に勤務すれば、良い教育が受けれると感じる事は当然です。
 しかし、個人店には無理でしょうか。私はそうは思いません。どんなに良い環境であろうと、学ぼうとする個人の意識が高くないと意味はありません。そして現状のチェーン店が行なっている教育システムなら、個人店でもそれ以上のものが作る事は可能です。
 私の薬局は個人店ですが、現在大学の薬学部と連携して”症例検討会”を立ち上げています。自分達の患者様の症例・服薬指導・ケア計画を発表する事で、その場で大学の先生から臨床薬学の知識を、医師の教員から最新の治療法を学ぶ事ができます。それ以上に、発表する事で今一度その疾患を十分に勉強し、薬局の現場で同じ疾患をもつ患者様に十分な対処が出来ます。基礎的知識の再確認は書籍やe-ラーニングを受けることでできます。(必要な書籍は会社で購入するようにしています。)実際の患者様の症例については、処方医と十分なコミュニケーションをとり、処方意図を教えてもらっています。
 私はモチベーションの高さは、これらを勤務する薬剤師と会話しながら構築していくことで維持する事が出来ると思っています。
 但し、異なる診療所の門前にいくつもあるチェーン店のように、それぞれの薬局でそれぞれの診療科の治療法を学ぶ事はできません。それは確かに現実です。
 薬剤師が個人で学ぼうとしても学ぶ環境がないと不安なら、自分が目指す環境を自分で作ってしまえばよいのではないだろうか。大学との連携は、不安な思いを感じた私と大学に勤務する先生の想いから出来ました。そして、今後はこの地域の薬局にオープンに使ってもらえるシステムにしたいと思っています。チェーン薬局にも出来ない教育システムを作り上げる事で、多くの個人薬局に対する勤務薬剤師の評価が変わることを願っています。
 大手のチェーン薬局が求人で訴える「大手でしか出来ない充実した教育システム」、実は個人の薬局でも十分可能で、勤務薬剤師の皆さんにはマイナスイメージを払拭して頂きたい、それが個人薬局経営者の想いです。