引き算の調剤

 「この薬、まだ服んでるんですね?
 でも、ぼちぼち止めてみません。いつまでも服む薬じゃありませんよ。
 え、先生には言えない。
 じゃ、私から言いますよ。あ、それも嫌。
 それじゃ、飲み残しが余ってる事にしましょ。それならいいでしょう?

 え?あんた変ってるって。良く言われるんですよ。
 儲かんないだろうって。そうなんですよ、火の車。
 でもね、いらない薬渡すの一番嫌なんですよ」

 まだ処方箋調剤をしていなかった頃、OTC漢方薬しか売らなかった頃から、いらない薬は売りたくないという気持ちは変わらない。
 処方箋を扱うようになってもその気持ちは変わらず、お客さまと相談を重ねている。

 薬剤師が、医療で目に見えて貢献できる事。
 それは薬によっておこる健康被害を食い止める事だろう。

 それができれば、他職種も信頼するだろうし、医療費だって安くなる。

 “引き算の調剤”。

 薬剤師の価値って、そこにもあるに違いない。