映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」


 広汎性発達障害の為、高度な知能を持つが、人とのコミュニケーションがうまくとれず、奇異な行動をとる11歳の少年オスカー(トーマス・ホーン)。

 少年の父(トム・ハンクス)は、その障害も含めて息子の全てを受け入れ、理解し育てようと努力する。

 そんな二人の温かい関係も、あの9・11により引き裂かれる。
 あの日、父は貿易センタービルで人と会っているその時、テロは起こってしまった。

 唯一の理解者である父が死んでしまったという圧倒的喪失感。
 その悲しみに1年間オスカーは何もできなかった。

 1年を過ぎたある日、運命の日以来初めて父の書斎に入ると、そこで見つけた、”ブラック”という名前が書かれた紙と一本の鍵。

 その鍵が自分に宛てた父のメッセージと信じて、ニューヨークに住む426人のブラックさんに会おうとするオスカー。

 人としゃべるのがつらいという障害を乗り越え、巡りあった一人の老人(名優マックス・フォン・シドー)と共に、鍵に合う鍵穴を探し続ける。

 そしてついに見つけた鍵穴の先に何が待つのか…


 泣き叫ぶほどの独りきりの哀しみ。
 そして、隠し続けなければならなかった少年の心の傷。
 話し語り終わった後に少年を待つ、圧倒的な”優しさ”に触れた時、観客は涙を禁じえない。

 2月18日公開、ワーナーブラザーズ配給。

 主人公オスカー役のトーマス・ホーンが素晴らしい!
 そして、脇を固めるトム・ハンクスサンドラ・ブロック、名優マックス・フォン・シドーの演技も見事だった。