OTC薬新販売制度の第一類は22成分

改正薬事法により、OTC薬(一般用医薬品)は、その成分のリスク程度によって

  1. 第1類:販売に際して薬剤師による積極的情報提供と相談応需を義務付けるもの。
  2. 第2類:薬剤師または新たに導入される登録販売者による情報提供を努力義務とし、相談応需は義務とするもの。
  3. 第3類:それ以外のもの。

の3段階に区分されています。
厚生労働省・厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会の資料によると、OTC85製品群485成分を上記の分類に分けると
第1類は22成分、第2類は57成分、第3類は406成分です。
(以下の資料から塩酸アモロルフィン・塩酸ネチコナゾール・塩酸ブテナフィンは2類へ、ケトチフェン・ラナコナゾール・テオフィリン・アミノフィリン・ジエチルエチルベストロールは1類に再評価されています。)
厚生労働省厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会資料
>>http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/11/s1125-13a.html<<

コンビニエンスストアは酒税法規制緩和によって設置の距離規制が解かれ、酒類販売ができるようになりました。その結果酒販店は約46000店が廃業し、現在5万店が残るのみになりました。(その他銀行法の改正によってATMも設置できましたが・・・)
かつてウィスキーメーカーのサントリー副社長に酒販店が無くなるとわが社はどうなるかと社員が聞いたところ、「酒屋が無くなっても販売店は減らないから問題は無いよ。ウィスキーはちゃんと売れるよ。」と答えたそうです。
結果どうなったか。
確かに総数で、酒を販売できるところは6千店ほど増えました。しかしウィスキー販売量は激減し、今日本にはもうしばらく作らなくても良いほどウィスキー原酒の在庫があまっているそうです。
なぜでしょうか。
それはコンビにはフランチャイズ店が多く、限られたスペースには商品回転率が良い物しか、利益を多く得られる物しか置かなかったからです。つまりウィスキーという高価で専門知識の要るものはコンビニにはなじまなかったのです。サントリーは自ら専門店を潰してしまったのです。
さて、OTC薬がコンビにでも売れる時間が近づいています。OTC薬は説明の要らない専門的商品ではないのでしょうか。OTC薬がコンビニで販売できるようになるとどうなるのか、答えはウィスキーの現状が教えてくれます。また、リポビタンDの売り上げが激減した事が教えてくれます。
勿論消費者が購入する時でも何も情報を聞かず説明さえしない、また夜中や日曜祝日など診療所が開いていない時にOTCを買いに行っても閉まっていたなど薬局・薬剤師に多くの問題があります。
患者様のことを考え本当に真摯な態度をとってきたか、私達薬剤師は自答しなければなりません。

  • 本当にこの分類でいいんでしょうか。

改めてこの分類を見たとき、私はビックリしました。患者様の容態や体質によって販売を考慮しなければならない解熱鎮痛剤のNSAIDSや漢方薬が第2類です。
確かに緊急に必要な解熱鎮痛剤が24時間コンビニで販売される事は良い事でしょう。しかし、インフルエンザの発熱には多くのNSAIDSは認められていません。喘息患者にはアスピリンは禁忌です。利益優先のコンビニで問診して薬を売らずに、受診を勧めることが可能でしょうか。
かつて薬剤師になる前、薬局に修行に行っていた時があります。店頭では多くの販売員が、問診に必要な漢方薬を症例早見表で選んでいたり、潰瘍を起こしやすい鎮痛剤をお客様の言われるまま販売していたりしています。しかし今は、薬剤師だからこそその怖さを知っています。薬剤師になってからは必要の無い薬は売らない、お客様には”変わった商売気の無い薬局や”と言われるようになりました。(・・・でも実はそれが自慢なんですが・・・)
どうか新しい登録販売者の方には、十分な知識を持って患者様に接して下さい。
要らない薬・医師の診察が必要だと感じる患者様には薬を販売せず、診察を勧めてください。
そして薬局薬剤師はOTC薬が何処でも売れる今だからこそOTC薬を十分な知識を持って販売し、プライマリーケアを推進しませんか。
病院・診療所に休みはあっても、病気に休みは無いのですから。