終末期医療・在宅医療・緩和医療・・その2

  • 日本の現状とこれから

まず、参考文献として次の書籍を紹介します。
 「改革」のための医療経済学「改革」のための医療経済学:兪炳匡著・・メディカ出版 
 入門 医療経済学―「いのち」と効率の両立を求めて (中公新書)入門 医療経済学:真野俊樹著・・中公新書
 厚生白書
       http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaz199901/b0034.html
上記の資料からのデータを参考にして日本の医療を国際比較してみます。
まず、人口千人当たりの診療に従事する医師の数をみると、日本が1.9人に対しイギリスが2.0人、フランス・ドイツが3.3人、イタリアが4.1人、アメリカが2.7人で、医師の数は少ないのが現状です。
次に人口千人当たりの病床数を比較すると、日本が13.2床に対し、イギリス4.5床、フランス8.7床、ドイツ9.6床、イタリア6.0床、アメリカ4.1床となり、ベッド数が多い事がわかります。
これは次の平均入院日数にも関連し、日本が33.5日に対し、イギリス9.8日、フランス11.2日、ドイツ14.3日、イタリア9.8日、アメリカ7.8日と日本の入院日数が多い事がわかります。
つまり、日本は病院の入院患者が非常に多い割りに医師の数が少ないのが現状という訳です。
この入院日数の多いわけは何か。その一つの理由が、慢性疾患や高齢者が療養する「療養病床」、さらに医療サービスを必要としない高齢者が施設代わりに使用する「社会的入院」です。
2006年4月現在、わが国には医療保険適用療養病床が25万床、介護保険適用療養病床が13万床、計38万床あります。
厚生労働省は超高齢化社会による医療費増大を抑制するため、2006年7月医療必要性の低い患者の診療報酬を従来の7割に引き下げました。結果、病院では経営を圧迫するため療養病床を維持できず、近畿ニ府四県の療養病床数は8ヶ月で1900床減りました。この療養病床減の傾向はこれからも進み、厚生労働省案では2011年度末には医療の必要性の高い患者向けだけの医療療養病床15万床にする計画です。
それでは差し引き23万床の患者は何処へ行くのか。老人保健施設・ケアハウス・有料老人ホーム・自宅などという訳です。そしてその患者様を誰が診るのか。それは診療所の医師が在宅で対処すればよい、その為に昨年の4月の医療報酬改定で在宅医療に関する報酬を引き上げたのです。
実際、色々な理由で新規診療所の開業ラッシュが昨年から続き、在宅診療をされる医師の数も増えています。自宅で療養したい方には良い傾向かもしれません。
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