終末期医療・在宅医療・緩和医療・・その3

  • 薬剤師として

前回、厚生労働省の施策として、療養病床が23万床減る事をお話ししました。結果、これから在宅医療が進む事になるでしょう。私達薬剤師も真剣に在宅医療、そして緩和医療に取り組まなければなりません。
在宅医療に携わり始めた頃、薬剤師に在宅医療が務まるのか悩んだ事があります。
薬剤師は、医師・看護師のように患者様に直接触れる医療行為は法で禁じられています。例えば、薬局に怪我をしてキズ薬を買いに来られた患者様にも、そのキズ薬一つ塗って差し上げる事はできません。
自宅で養生なさっている患者様からして、自分の体を触れさせる医療者と何もしない医療者を同等に見れるのか、家の中まで入れていただけるのか、ただのお薬宅配屋になりはしないかと感じていました。
勿論、当初は患者様も宅配する薬局という感覚だったと思います。しかし、お薬の管理をするためのお薬ボックスや壁掛けを用意し、服薬しやすいように日付入り分包・カラーで服薬時点を色分けなどしたりしていく間に信頼が得られるようになりました。在宅では患者さまと長いところで1時間ほど話をしてくる事もあります。
在宅を行う事で、地域の訪問看護師やヘルパー・ケアマネジャーさんと話も出来るようになり、チーム医療ができることにもなります。
薬局窓口では、患者様に服用状態を聞き、服薬指導をしてお薬をお渡しする事で業務終了となりますが、在宅では本当にちゃんと服薬できているか、適正な保管状態か、相互作用らしきものはないか、ちゃんと見ることが出来ます。
薬剤師は医療行為は出来ませんが、薬の専門家という職能を真面目に果たせば、在宅医療に十分貢献できると今では感じています。
ただ、在宅の患者様はいつ容態が急変するかわかりません。それが夜中であっても、休日であっても、たとえ1月1日であっても必要とあればお薬をお届けしなければなりません。
それ故、私自身は家族とも旅行などした事はありません。休日は、どんな時でも薬局に1〜2時間以内で戻れるところしか行った事はありません。人にはハードな仕事と思われるかもしれません。しかし、医療とはそんなものです。病気に休みなどはないのですから。

  • 最後に

自宅で最期を迎えられる患者様、最期は病院だけどそれまでは家にいたいと願われる患者様、施設に入られて老後を過ごす患者様、色々な方にお薬をお持ちしてお話させていただいています。
生きる事と死する事、人としてどちらも大事な事であり、人生の先輩の方々から学ぶことは実に多いです。
真面目に在宅医療に取り組む事、それが私自身が生きる証なのかもしれません。