財政審・経済財政諮問会議の発言

 財務相の諮問機関である財政制度審議会(財政審)が”公益医療保険給付は、後発医薬品の水準までとし、先発医薬品を使った場合の差額は患者の自己負担とする”よう16日厚生労働省に求めました。
 会長の西室氏は「後発医薬品の使用促進は財政審委員の間では既に常識。」だそうです。
(債務残高は、対GDP比日本176%、米国61%、伊108%、仏64.6%、独68%)
 また、政府の経済財政諮問会議(大田経済相)は、15日2012年度までの5年間の医療・介護分野の効率化計画をまとめ、民営化などによる公営病院の改革・診療報酬の包括払い推進(実施病院数を現行の3倍に)・後発医薬品推進(平成12年度までに16.8%→30%以上)を唱えました。
 さて、日本の社会保障費・個人負担額はそれほど国際間比較で高いのでしょうか。
 国立社会保障・人口問題研究所によると、2004年対GDP社会保障給費は、スウェーデン32.0%、独28.2%、米14.5%、日本13.1%です。
 少し古いデータですが、厚生労働省社会保障審議会年金部会(平成14年度)に国民負担率の推移・国際比較などの比較資料があります。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/04/s0419-3c6.html
 (但し、給付や負担額に比較には、独や仏・我国のような社会保険方式とスウェーデン・英の税負担で違いがあることは認識しておかなければなりません。)
 つまり、社会保障費は国際比較をすると日本はかなり低いが、歳出の一般会計81兆円のなかでは4割を占めるという事です。
 4割を超える社会保障費は、これから更なる超高齢社会を迎える我国で大問題だというのが、財政審・経済財政諮問会議の言い分です。しかし、国の歳出は一般会計だけではありません。特別会計があり、金額は約200兆円あります。つまり、一般会計と特別会計をあわせて、更に重複した部分を整理しなおすと230兆円になるのです。これが国家の歳出金額です。この中での医療費31兆円は高いのでしょうか。天下り先と呼ばれる特殊法人独立行政法人への予算15兆円は必要なのでしょうか。
 (参考資料http://www.hyogo-ishirenmei.jp/news/2003_07-01.html
 実際の現場を審議会の方は見たのでしょうか。
 36時間勤務の医師がいます。365日殆どどこにも行かず往診をする医師がいます。ボランティアで終末医療の話を説いて廻る医師がいます。24時間の訪問看護ステーションがあります。祝日・日曜を問わず、在宅患者へ薬を運んだり、様子を見にいく薬剤師がいます。
 介護では独居老人等の家を訪問する家事ヘルパーはお宅でご飯を作り、買い物をして下さっています。それで時給が850円前後です。身体介護ヘルパーは排泄などのお世話もします。
 みんな大変です。それでも”いのちの尊さ”を知っているから、懸命に働いています。
 本当に社会保障費は削減すべきでしょうか。国際間比較を見ても、我国の医療費が高すぎるとは思いません。削減すべきは他の費用なのではないかと私は思います。
 経済は「経世済民」・・・国を治め民を救う学問であり、社会全体の幸福を向上させる学問のはずです。そういった観点から国の財政を考えるなら、削減すべきは特殊法人等に今なお与えてる予算ではないでしょうか。