外来主治医制度

 毎日新聞1月6日付にこんな記事が出ています。
  「外来主治医:75歳以上1人に1人 医療費抑制狙い制度化」

 厚生労働省は今年4月から始まる後期高齢者医療制度で、複数の病気にかかっていることも多い75歳以上の患者の心身状態を1人の医師が総合的に診察する「外来主治医」(仮称)制度を導入するが、5日までにその全容が固まった。

 原則、患者1人に1人の主治医とし、高齢者が複数の医療機関にかからないようにすることで、医療費を抑制するのが狙いだ。資格は、お年寄りの日常生活能力を判定する機能評価の演習など4日間程度の研修を受け、厚労省に届け出た医師に与えられる。

 患者は、外来主治医から1年間の治療・検査計画を記した「高齢者総合診療計画書」を示される。糖尿病や脳血管疾患などの診療には、計画書に患者の同意署名が必要となる。患者には月初めの受診時に、検査結果や次の受診日時などを記した文書が渡される。

 新制度の導入に伴い、75歳以上を対象とした診療報酬に「医学管理料」を新設し、外来主治医が請求できるようにする。財源は、75歳以上の患者の再診料を引き下げて工面する。同管理料のほか、一部を除く検査、画像診断などについては何度実施しても一定の報酬しか払わない「定額制」を導入する。

 複数の医師による薬の重複投与を防ぐため、外来主治医には、毎回患者に服薬状況を確認することも義務付ける。資格取得の前提となる研修は、日本医師会と学会でつくる組織が受け持ち、高齢者の薬物療法認知症の診療、家族や介護者への指導方法なども習得させる。【吉田啓志】

 この主治医制度が実際に実施されるとどうなるのでしょうか。
 例えば、75歳以上で目だけが白内障で眼科にかかっている高齢者の主治医は、眼科医なのでしょうか。
 逆にそれがおかしいなら、健常な高齢者でも必ず主治医として内科医を選ばなければならないのでしょうか。
 では、現在医師は自分の意思でそれぞれの専門科目を得らんでいますが、職業として収入を得るためには、学びたい学問をはずして、主治医になれる科目を選ばなければならなくなるのでしょうか。そして、患者が必要とする専門医が減らざるを得ない状態が生まれるのでしょうか。
 確かに、主治医制度を採れば医療費は削減できると思います。しかし、実際医療を必要としている患者から考えた制度とは、私には考えられません。
 また、以前在宅医療を行う際、患者様一人につき一人の主治医を選ぶという今回と同じ状態がありました。その際、誰が主治医になるかで混乱をきたしたことがあったはずです。今回は、その時とは比べられないほどの患者数です。どれほどの混乱が起こるのか予想はつくはずです。これを医師会には既に伝えているのでしょうか。医師会だけではない、国民には十分説明してきたのでしょうか。
 現状の税制・財政状況で、社会保障が増大することが大変なのは理解できますが、それなら税体系を変え、社会保障付加価値税でまかなうことを国民に問う事のほうが、よほど真っ当な考え方なのではないでしょうか。
 主治医制度については、今一度国民に十分な情報・知識を提供した上で考え直していただきたいものです。