新型インフルエンザ:二つの疑問

tomoworkaholic2009-05-01

 豚インフルエンザ(これも今ではWHOではインフルエンザAと呼ばれているようですが)もすでにフェーズ5となり、新型インフルエンザと認定されたました。連日テレビのニュースでは、日本で初となる感染者をめぐっての報道が飛び交っています。幸い、今現在では、疑われた方々は季節性インフルエンザだったようで、現状では横田基地で隔離されている4か月の乳児が感染を疑われているのみです。

 さて、今回の新型インフルエンザを考えていると、私には二つの疑問が浮かびます。
 ひとつは”なぜメキシコ人の死亡率が高いのか?”、もう一つは”豚インフルエンザはどこで発生したのか?”です。
 そこでこの二つの疑問について調べてみました。

 1)何故メキシコ人の死亡率が高いのか?
 まず、インフルエンザによる死亡者数を調べてみました。すると、下記のサイトが見つかりました。
    図録:インフルエンザの死亡数の推移(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1955.html
 とても良くできたサイトで、この資料を参考にさせて頂くと、日本では毎年インフルエンザによって死亡する患者数は約1万人におられます。但しこれは超過死亡概念による死亡者数です。
 ”超過死亡概念”とは、直接の死因がインフルエンザとする死亡者数でなく、インフルエンザが流行したことによって総死亡数がどの程度増加したかを表す推定値です。(WHOはこの値を推奨しています)
 この考え方で推定すると、季節性インフルエンザは致死率0.05%となります。
 現在はやっている新型インフルエンザのメキシコでの致死率は、312人の感染者数に対し12人(4/30現在)なので致死率3.8%と非常に高い。全体では511人の感染者数に対し13人ですから2.5%となり、スペイン風邪の致死率2.0%、香港風邪の0.5%よりも高い状況です。
 しかし、現在の数字も今まで気づかなかった感染者や今後の感染者を総数として加えると致死率は下がり、おそらく今までのインフルエンザと変わらない致死率まで下がると思われます、
 そうすると、メキシコの致死率が高い理由の一つに、実際には感染は以前からあったのではないかと考えられます。つまり、未確認の感染者が相当数存在しており、その総数を致死率の母数にすれば、全体の致死率の近くなるのではと考えられます。
 また、メキシコの感染者数が少し前では1000人を超すと報道しておきながら、WHO換算では現行の数に訂正されたことを思うと、発表数字の信頼性が疑われるところでもあり、これらが理由の一つなのではないでしょうか。

 2)豚インフルエンザはどこで発生したのか?
 この点については、共同通信社が面白いニュースを流しています。
 47NEWS

感染源はどこ?インフルエンザ メキシコの養豚場兆候なし
 【ワシントン1日共同】新型インフルエンザウイルスは、人間社会に登場後、短期間で世界的大流行の一歩手前まで拡大したが、人への最初の感染源は依然不明だ。豚が起源とされるが、大量の感染者が出ているメキシコでも養豚場で広まっている報告例はなく、関係者は首をかしげている。

 4月29日付の米紙ワシントン・ポストなどによると、メキシコで最初の感染確認例とされる5歳男児が住む東部の村ラグロリアは、大規模な養豚場に囲まれ、感染源ではないかという“疑惑”の対象となった。

 養豚場を共同経営する米国の大手食品会社はホームページで「飼育している豚や従業員にインフルエンザの症状はなく、実施中の検査で疑惑に答えが出るだろう」と潔白を主張している。

 アジアなどで人に感染している鳥インフルエンザウイルス「H5N1型」は強毒でニワトリなどが大量死することが多く、異変察知は比較的容易だった。今回の新型ウイルスについて国連食糧農業機関(FAO)は4月30日、「メキシコ内外の豚で広がっている兆候は現在のところない」との声明を発表。感染源として疑われる養豚場はないことを強調している。

 米疾病対策センターCDC)によると、このウイルスは、北米の豚と北米の鳥、人のインフルエンザウイルスのほか、ユーラシア大陸の豚のウイルスの遺伝子が混じっており、起源は謎だ。

2009/05/01 17:00 【共同通信

 この記事から考えると、最初に感染者が見つかったラグロア村にある養豚場にはインフルエンザに罹った豚はいないと言います。
 鳥インフルエンザでは、強毒故にトリは死んでしまう為すぐに感染源が分かるのに対し、弱毒の豚インフルエンザではわからないのでしょうか。

 二つの疑問の回答はまだ見つけられません。
 さらなる新しい報道を待ちたいと思います。