発熱外来と発熱相談センター

 新型インフルエンザ(AH1N1)が関西で広がりを見せています。
 今までは政府の対策は、検疫による“水際作戦”に重点が置かれていましたが、こうしてヒトからヒトへの感染が始まった以上、今度は医療体制を確保しなければなりません。
 厚生労働省の“新型インフルエンザ・ガイドライン”の中には、“医療体制に関するガイドライン”があり、現在はこのガイドラインに沿って対応策が取られています。
 しかし、現状ではこのガイドラインの主旨が国民に理解されていないせいか、予想を超える事態が始まっています。例えば、多くの発熱者が“発熱相談センター”をすり抜けて、いきなり医療機関の“発熱外来”に来られる事態が起こっています。
 そこで、このガイドラインを通して、今ある“発熱相談センター”と“発熱外来”の違いを説明し、まず“発熱相談センター”に連絡する必要性をお話しします。
 ”新型インフルエンザガイドライン
      http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/09.html
 ガイドラインでは新型インフルエンザの患者数の増加を指標として、医療体制は5段階に分けられています。
 第一段階:国外内において新型インフルエンザが発生したが、当該都道府県内にはまだ患者が発生していない段階
 第二段階:当該都道府県内に新型インフルエンザが発生し、入院勧告に沿って感染症指定医療機関などで医療が行われる段階
 第三段階:新型インフルエンザ患者が増加し、入院勧告処置が解除され、当該都道府県内の全ての入院医療機関において新型インフルエンザに使用可能な病床を動員して対応する段階
 第四段階:入院が必要な新型インフルエンザ患者数が膨大となり、医療機関内の既存の病床以外にも、新たに病床を増設する事が必要となる段階。
 第五段階:新型インフルエンザの流行が終息傾向に入った段階。

発熱相談センター
 第一段階において、都道府県はまず保健所などに発熱している患者から相談を受ける“発熱相談センター”を設置しなければなりません。これは、患者が事前に連絡もせず直接医療機関を受診する事による一般の患者への新たな感染を防ぐと共に、“発熱外来”などを持つ特定の医療機関に集中する事で、当該医療機関の医療スタッフへの過度の負担を与えない為に設置されるものです。
 今回の事例を見ていると、新型インフルエンザでもない人までが直接“発熱外来”医療機関を訪問する事で、受診を待つ待合で感染が起こる可能性と医療スタッフへの過度な負担が生じています。
 まず、インフルエンザを疑う症状が起こった場合は、必ず“発熱相談センター”に連絡して指示を受けて下さい。これが大切です。

発熱外来
 発熱外来は、新型インフルエンザの患者とその他の疾患を持つ患者を振り分け、互いの接触を防ぐことで、感染の拡大の防止を図ると共に、新型インフルエンザの治療を効率化し、混乱を最小限にする事を目的として設置されるものです。
 その形態は、感染症指定医療機関に専用外来を設置したものもあれば、既存の診療所や地域検診センターなどを転用するものもありますが、全ての医療機関や診療所が行うものでもありません。なぜならインフルエンザ以外の疾患を持つ患者の医療は続けなければならないからです。

 更なる感染爆発を抑えるためにも、現段階ではまず自宅内で発熱相談センターに連絡し、指示を仰ぐようお願いします。